日本の医師の0.6% 「病理医」にスポットを当てた漫画『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』

日本の医師の0.6% 「病理医」にスポットを当てた漫画『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』

医者が読んでも面白い!

日本の医師の0.6% 「病理医」にスポットを当てた漫画『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』

「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」は「病理医」という珍しい分野にスポットを当てた漫画です。 病理医は「患者と対面しない」という特徴があります。 依頼があった病気を真摯に調査し、適切な「診断」を下します。 「病理の世界」は医療業界で働かない限り、接すること機会はほぼありません。 そんな「病理の世界」を「フラジャイル」に登場する魅力的なキャラクターを通してお伝えします。

 

天才病理医、岸京一郎

「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」は、タイトルにもあるように「岸京一郎」という天才病理医による「診断」を中心として物語が展開していきます。

誰からの依頼も受けますが、適当な診断には誰であろうと激を飛ばし、非の打ちどころのない根拠を添えた「診断」で対抗します。手段を厭わない描写も多く、恐ろしい印象の岸京一郎。しかし、その行動の裏には「正しい診断は、患者を救う」という強い思いを感じさせます。

病理医とは

病理医とは、病理診断を専門に行う医師のことです。病理診断というと、一般には馴染みのない単語ですが、病理医は大学や研究所だけでなく一般の病院にも在籍しています。

病理医の具体的な業務は以下、3つに分けられます。

  1. 病理解剖(剖検):亡くなった患者さんを解剖し、病気の原因、治癒効果を検証します。医療の発展を目的として行うものです。

  2. 組織診断(生検および手術材料):患者から採取した組織を検査し、病気の進行状態を確認する作業です。手術方針を決めるのに役立ちます。

  3. 細胞診断:患者から採取した細胞を検査し、容態を確認する作業です。細胞診断は、細胞検査士という専門技師と共同で診断します。

上記から分かるように、病理医は解剖や検査を行い「正確な病気の診断」を行うのが仕事です。そのため、基本、患者の細胞や組織を受け取ることはあっても患者本人と対峙することは滅多にないのです。

この漫画が出るまで「病理」という専門があることを知らなかった人も多いのではないでしょうか?

責任がある分、意見は通す

病理医は「正確な病気の診断」を出すのがお仕事です。患者とやりとりするのは別の医師ですが、病気に対して向き合う気持ちは同等以上です。

岸京一郎は、常に絶対的な自信を持って病気に対して「診断」を下します。その自信は、徹底的に調べ抜いた「情報」に支えられているものです。

「お前が医者でいる限り 僕の 言葉は 絶対だ」

強烈なセリフですが、岸京一郎のキャラクターをよく表しています。誰よりも病気に対し真摯に向き合い、疑問は全て調べて解消した上で出した「診断」。その結論を感情論で無下にする医者に対して、烈火のごとく怒ります。

宮崎 智尋:神経内科から病理医へ

宮崎知尋は、神経内科にて研修を行っていた医師です。自身が担当する患者の診断に違和感を覚え、病理医の岸に相談をします。

岸のアドバイスは、「MRIの予約を書き換える」という医師生命を脅かすものでした。しかし、正規ルートで検査をしていては患者が危機に陥るかもしれない。 「自分は何のために医者になったのか」再度自分の気持ちを確認し、宮崎は覚悟の行動に出ます。
 
「私を病理に 入れてください!」

岸との出会いで「病気と真摯に向き合う」世界に魅せられた宮崎は「病理医」になる決心をします。そこで、岸の元へ行き「病理医」として指導してくれるよう依頼するのでした。

「物事を突き詰めて考えること」、「全てに全力を注いでしまうこと」は「毎日患者を100人診ること」と両立が難しかったのかもしれません。しかし、宮崎の真面目で真摯な仕事への姿勢は、心洗われるものがあります。
 

森井久志:岸の右腕、臨床検査技師

森井久志は岸と2人で、全科の病理検査を行う臨床検査技師です。実は森井は、「経済的な事情で、医者を断念した過去」があります。そのため「臨床検査技師は出来ることが限られること」、「自分も経済的な余裕があれば、今頃医者になっていたはず」という葛藤が時折見えます。

病理医も検査技師も「検査」を行いますが、検査技師はあくまで「検査のみ」を行い、検査結果をもとに「診断」を下すのは病理医のみに許された仕事です。優秀であるがゆえに、自身の権限に悩まされる森井は読んでいて切なくなってしまいます。

患者は見えずとも、「救いたい気持ち」は同じ

日本の医師の0.6%だけが専門とする「病理医」にスポットを当てた漫画「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」。天才病理医の「岸京一郎」をはじめ、素直で真面目な「宮崎知尋」、皮肉ばかりの敏腕技師「森井久志」、他にも「裏表があるMR」、「美人女医」、「岸の恩師の病理医」などなど魅力的なキャラクターが登場します。

冒頭でもお伝えした通り、病理医は普段患者と接することがありません。しかし、「病気に対して真摯に向き合う姿勢」は他の科の医師と遜色ないことが漫画を通して描かれています。

普段接することのない「病理の世界」を「フラジャイル」を通して覗いてみて下さい。

(ライター名:ユカノ@)