私、“親友”の彼氏にレイプされ続けてます。人間の「性」に迫る『先生の白い嘘』

私、“親友”の彼氏にレイプされ続けてます。人間の「性」に迫る『先生の白い嘘』

苦しんででも読み終える価値がある

私、“親友”の彼氏にレイプされ続けてます。人間の「性」に迫る『先生の白い嘘』

本作の主人公は地味目な25才の女性。 学生時代に“親友”の彼氏によるレイプで処女を奪われ、今も性奴隷にされている。 キャッチーなので、最初にレイプのくだりをもってきたが、この作品の要点はそこではない。 人間の「セイ」や「サガ」に対して問題提起するような、はっきり言って重苦しい話だ。 それでも、読み終える価値がある本作。全8巻完結のディープな人間模様を紹介する。

 

男女不平等!セックスはいつだって男のせいですか?

主人公の原美鈴は、25才のさえない高校教師。4年前の夏、“親友”の彼氏にレイプされ、現在も脅されて犯されている。

彼女が担当するクラスのイケてない生徒の新妻祐希は、よくしてくれていたバイト先の社長夫人から逆レイプされた。

新妻の不倫がクラスで噂になってしまったため、担任の美鈴が事実確認をすることに。新妻が受けた被害を知る。

にた境遇にあり、同じように「性別」に関して苦しむふたりだが、その性差のせいで、痛みを分かち合うことができない。

むしろ、男でありながら「セックスを強要された」とノタマう新妻に、美鈴は「男と女は平等でなく、男は女から奪う存在である。」ということを淡々と説いていく。

初めて「男」に内心をぶつけた美鈴と、なぜか彼女の様子に欲情してしまった新妻。

・・・そこから物語が動き出す。

マトモな奴はおらんのか!闇深き登場人物たち

この漫画に出てくる人間の大体が、歪んでいる。

主要人物は揃って闇を抱えており、周囲も人間の悪いところを凝縮したような象徴的な人物が多い。

主人公の美鈴は、自分が「女」であることから逃れられないことに苦しんでいる。

自らに女性としての“商品価値”がないと思い込む彼女は、女である利益を享受することなく、むしろその性がゆえの不利益をしっかり強いられている。

その状況全てを「自分が女であるせいだ」と結論づけ、苦しみつつもやり過ごしていたが、新妻との出会いによってその諦めが揺らぎ始めるのだった。

美鈴の“親友”である美奈子は、絵に描いたような嫌な女。

金持ちの娘で、虚栄心の塊。虚言癖にマウンティング。男に媚びては、女に嫌われる。

まるで関係を強いるように美鈴を「親友」と呼称するのも、主人公以外に友人と言える存在がいないがため。

質が悪いことに、その友を自分より劣る弱者と値踏みしている様子。

その美奈子の彼氏である早藤は、処女食いの常習者で鬼畜レイパー。女を馬鹿で弱い劣等種のように思っている最悪な男である。

美奈子と早藤は、この漫画の胸糞悪さを爆上げしているお似合いのクソカップルだ。

そんなこいつらも、いや、そんなこいつらだからこそ、抱える闇が深い。

読み進めれば、彼女らが何を思って生きているのかが分かる。

特に、最終巻で明かされていく彼女らの根本にあるものは、非常に興味深く印象的だ。

クソ共の中で光るピュアラブ

この物語は各人物の人生が複雑に絡み合い、同時並行で各々のストーリーが進展していく。

早藤に犯され、幸せに生きていけない美鈴。
美鈴に好意を持ち、彼女を助けたいと奮闘する新妻。
早藤からぞんざいに扱われながらも、愛し続ける美奈子。
早藤から乱暴に処女を奪われるも、初めての“恋愛”に溺れていく玲菜。

この4本のラインからも太く枝分かれしては交わるように、周辺人物たちの濃い悩みや生き様が描かれる。

この作品は、「腕力でも社会的構造でも、デフォルトではどうしても女は男より弱くなってしまう。」という問題を扱っており、内容は重い。

そんななかでも、いくらか救いになるような要素もあって、読み続けることができる。

その最たるものが、新妻の純朴なモーション。この癒しは、美鈴だけでなく読者にとっても大きな光となっていることだろう。

彼は、自分が望んで持っているわけではないけれども、確実に己の内にある「男」という“力”を理解できずにいる。

また、その「何であるかもわからない力」を有しているがため、美鈴から受け入れられないことに悩む。

それでも障害を乗り越えるために、時に傷つけ合いながらもふたりが進んでいく様子は、この漫画の見どころだ。

誰にとっても他人事ではない

最新刊を読み終えるたびに「なぜ、わざわざ胸糞悪い気持ちを買っているのだろう」と思った。

正直読むのはしんどい。作者自身も「擦り減らしてます。」「吐きそうになったりしながら書いてます。」と、コメントしている。

それでも次の巻を手に取らない、という選択はない。

それくらい魅せる力を持つ作品で、すべて読破した時に「読んでよかった」と思えることを保証する。

作中の愚かな人間たちを、読んでいて軽蔑してしまうだろう。

だが、自分がそのような生き方に陥らなかったことを、果たして必然と言えるだろうか。

「弱い女」も「女を弱くする男」も、男と女という性差がある限り誰しもがなり得るし、物語に起きた事象ほど重大になることはなくても、あらゆる人間の日常に潜んでいる。

「物語は終わりますが現実は続きます。」と作者は言う。

どうか苦しんで読み終え、女も男もセックス(性行為、性別)について考えてみてほしい。

(ライター:福岡シエ)