私が愛してやまない『喧嘩稼業』の4つの魅力

私が愛してやまない『喧嘩稼業』の4つの魅力

ギャグ漫画界の鬼才が描く傑作格闘漫画!

私が愛してやまない『喧嘩稼業』の4つの魅力

2005年より週刊ヤングマガジンで連載されている格闘漫画の「喧嘩稼業」。 「喧嘩商売」の作品名で発表されていましたが、ストーリーがひと段落して第二部に移行する格好で2014年に今の「喧嘩稼業」にタイトルに変更し、支持を集めてきました。 「多種存在する格闘技がルールなしで戦ったとき、最強の格闘技は何か?」という、男性なら一度は考えたことがあるであろうテーマを描いた物語です。 現在作中で繰り広げられている戦いの舞台は、『陰陽トーナメント』。「陰陽」というタイトル通り横綱や柔道金メダリストといった表側で活躍する格闘技の達人から、殺し屋やヤクザといった裏の猛者まで入り乱れた真の最強を問う戦いの場。 まさに喧嘩稼業のテーマそのものを体現した、最大級の格闘トーナメントです。 タイトルをリニューアルしてからは、内容も絵も洗練され更に面白くなっていおり、今、最も楽しみにしている漫画の一つになった本作。 この記事では、私が愛してやまない喧嘩稼業の4つの魅力を紹介します。

 

魅力①鬼才木多康昭先生が描くシリアスな格闘漫画

「喧嘩稼業」の作者は「幕張」や「泣くよウグイス」などの代表作でも知られる木多康昭先生

下ネタやブラックジョークはもちろん、編集者や同業の漫画家を作中にキャラクターとして登場させてネタにするなど全方位に喧嘩を売るようなスタイルで有名な漫画家です。

喧嘩商売においても、同作家らしく序盤はそれら過去作品流れを汲んだギャグの描写も多くありました。

ところが、喧嘩稼業になってからはその笑いのテイストも徐々になりを潜め、シリアスなトーンをベースにストーリーが進んでいきます。

ここで驚かされたのは、ギャグ漫画家がシリアスに振り切ったときのパフォーマンス。あの伝説的なヒット作「デスノート」の原作を手掛けた、ガモウひろし先生[*1]の凄みを彷彿とさせます。

人の感情の中では笑わせるのが一番難しいと言われ、意図的に笑いを引き出す方法を知っているギャグ漫画家。

作品を通して喜怒哀楽のコントロールができるだけに、受け手の感動や驚きをせたりするツボも熟知しているのでしょう。

筆者自身、まさか木多康昭先生に泣かされる日が来るとは思いませんでした。

魅力②主人公佐藤十兵衛のキャラクター性

喧嘩稼業の主人公、佐藤十兵衛は身長180㎝、体重100㎏以上の体格に恵まれた高校生

成績も優秀で東京大学に合格出来るレベルの頭脳を持ち、性格は自己中心的なナルシストで不遜な物言いで周りの人物を馬鹿にすることも少なくありません。

ここだけ見るとただの嫌味な完璧超人。それでも格闘技にだけは真摯に向かい合い、師匠の入江文学に対しても馬鹿にして見えても、心の奥では尊敬している様子が伺えます。

主人公がフィジカルに恵まれていると言っても、それはあくまで一般高校生レベルでの話。

戦う相手が常に十兵衛以上の身体をはじめとする基本スペック、経験、技術を持っているケースが多く常に劣勢を強いられています。

そこを覆すべく、雑学を含めたさまざまな知識を用いて罠や戦略を駆使。主人公は、頭脳派タイプの格闘家と言えるでしょう。

勝つためには手段を選ばない彼ですが、その行動力はよくも悪くも予想以上!

客席にサクラを用意したり戦う前から相手に毒を盛ろうとするなど、仕掛けるスケールや邪道を意に介さないタイプで、これまでの格闘技漫画の主人公とは一線を画する人物像です。

フィジカルや経験では圧倒的に及ばない相手にボロボロにされながらも、懸命に頭を働かせ勝利への糸口を探す佐藤十兵衛。

彼のファイトはとても熱く、読者からも支持されています。

佐藤十兵衛と戦った相手全員、舌を巻くのが彼のメンタル面での強さ。皆が「佐藤十兵衛は追い込まれてからが強い」という共通認識です。

そんな主人公がどのように「陰陽トーナメント」を戦い抜くかという点は、見ものでしょう。

魅力③奇妙だかどこかリアルに感じるキャラクター達

喧嘩稼業には佐藤十兵衛のほか、強烈な個性を持ったキャラクターばかり。

格闘漫画に多く登場しがちな戦闘狂やクールな天才のようなタイプはおらず、誰もが頭のねじが1本外れているような人物です。

それでも、どこかリアルに感じられる部分もあって印象的。

特に陰陽トーナメントに出場する全員、最強を決する試合に参加するに至ったいきさつを含めた過去のエピードを簡潔にかつ、鮮烈に描かれています。

個人的に心に残っているエピソードは、カブトと呼ばれるプロレスラーの話。

婚約者を中学生3人に辱められ殺害された事から復讐を決意、その犯人を殺害したのちに無期懲役を受けて刑務所に収容されました。

しかしそれから15年後。

オーナーである生野勘助の力で出所したところを多くのファンに迎えられ、涙ながらにプロレスラーへの復帰を決めトーナメントに出場します。

どこか常識から外れたようなトーナメント出場者が多いなか、カブトだけは(殺人を行っている人を善人というかは分かりませんが)心優しい人物であることが分かります。

このような印象深いエピソードがトーナメント出場者全員に用意されているため、誰が勝って誰が負けるかの予想を困難にさせています。

勝敗の予想がつかない、というのも喧嘩稼業の魅力のひとつなのではないでしょうか。

魅力④印象に残る強烈な技の数々

ほかの格闘漫画のように喧嘩稼業にも多くの技が出てきますが、特に印象的なのが富田流の「金剛」「煉獄」「無極」という3つの技。

相手のガードを先読みしてガード不可の打撃を連続で叩き込む「煉獄」は、絵面のインパクトもあって喧嘩稼業を代表する必殺技となっています。

窮地に陥っても戦略を巡らせ、最後に「煉獄」を叩き込む、というのが佐藤十兵衛の必勝パターン。一番読者が盛り上がる瞬間でもあります。

必殺技として位置づけてよいかは微妙なところではありますが、「毒」の有用性が極めて高いのも喧嘩稼業の特徴

梶原修人が独自に調合したもので「屍(かばね)」と呼ばれています。

ほんの少し体に入っただけで死が確定するほどの猛毒で、梶原修人がリングに残したものを佐藤十兵衛が回収。

それを利用して現在まで、佐藤十兵衛は敵2人の排除に成功しています。格闘漫画においてこれほど「毒」が活用された前例はないでしょう。

ある意味、喧嘩稼業のリアルな世界観を表している、と言ってもよいかもしれません。

喧嘩稼業・まとめ

「喧嘩稼業」はほかの格闘漫画と比べてみると、異彩を放っていることが分かりますよね。

といいながらも、王道的な熱さも本作の見どころ。主人公とライバルの因縁や師匠の闘い、トーナメント出場者の胸を打つ過去など物語に引き込まれる要素が満載です。

今、一番面白い格闘漫画と言っても過言ではないでしょう。

普通の格闘漫画に飽きた、という人は是非手に取ってみてください!きっと、喧嘩稼業の独特の魅力にハマること間違いなしです。

注釈[*1]:同作家のプロフィールとして公にされていないが、業界では公然の事実として知られている